月面 X を撮る







月面Xとは、月面の南緯25.5度、東経1.1度が明暗境界となる頃に見られる「X」字形の模様のことで、プランキヌス、ラカイユ、プールバックという3つのクレーターの壁によって作られる。月の満ち欠けの周期(約30日間)の中で、ほんの1時間ほどしか見られない。海外ではルナXと呼ばれ、2004年頃から話題に上るようになった。この他に月面Yや月面Lもある。この画像にも月面Lを見ることができるが、分かるだろうか。

星空を撮る時は敬遠される月だが、この夜は快晴に恵まれたことに感謝。

大雪のため赤道儀と屈折式望遠鏡をセットすることもできず、三脚にカメラを固定してお手軽に固定撮影。
赤道儀で月を追尾していないので、ISO感度を上げてシャッタースピードを稼いだ。
凍えるほどの寒さだった。


2021年2月19日 17時51分撮影
ISO800、f11、1/160秒
α7RM2 + E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS、350mm(フルサイズ換算525mm)


日本では、2021年は大変好条件に恵まれる。

2021年はこの夜の他にあと5回。

2021年4月19日 21時10分頃
2021年6月17日 21時30分頃
2021年8月15日 20時30分頃
2021年10月13日 20時20分頃
2021年12月11日 22時30分頃

いずれも非常によい条件で撮影できる。



※月面のクレーターで忘れてはならないのがクレーター・アサダ、クレーター・ナオノブ。
アサダは麻田剛立、ナオノブは安島直円の名からとられている。両クレーターは満月過ぎに撮る機会を狙って撮りたい。

麻田剛立は18世紀後半、江戸時代の天文学者。安島直円もまたほぼ同時代を生きた和算家。安島‐マルファッティの定理は明星輪寺算額の第十一問題に関係する。
3/14の明星輪寺算額一般公開でぜひご覧いただきたい。